レビュー

映画『スマホを落としただけなのに』感想 これは映画館で観なくても良いです。

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原作は「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞。
そして大々的な宣伝と豪華なキャスト陣。さらに監督は『リング』でお馴染みJホラー界の巨匠・中田秀夫
こんなの期待するしかないじゃないですか!ねえ!

作品解説

文学賞「このミステリーがすごい!」 大賞で隠し玉作品に選ばれた志駕晃のサイバーミステリーを実写映画化。恋人がスマートフォンを紛失したことで、事件に巻き込まれる派遣社員の姿を描く。スマホの拾い主から監視され、追い詰められるヒロインに、『HERO』シリーズや『探偵はBARにいる3』などの北川景子。『リング』シリーズなどの中田秀夫監督がメガホンを取った。

あらすじ

派遣社員・稲葉麻美(北川景子)の恋人が、スマートフォンを落としてしまう。そのことを知らずに恋人に電話をかけた彼女は、「あなたが稲葉麻美さんだってことは、分かりますよ」と見知らぬ男から電話越しに言われ、絶句する。拾い主の男から恋人のスマホを受け取りホッとする麻美だったが、その日から彼女の周囲で不穏な出来事が起こり始める。同じころ、山中で身元不明の女性の遺体が次々と発見され......。

※多少ネタバレありです!

期待通りの前半戦


最初に結論を言うと「期待したほど面白くなかった」というのが正直なところなんですが、非常に“惜しさ・歯がゆさ”を感じたのも事実です。

主人公・麻美に降りかかる悪夢。明らかな異常性を持った犯人に近付いていく感じは凄くゾクゾクしました。
「一体どんな奴が黒幕なんだよ…」とビビッていましたし、中田監督ならではのホラーっぽい演出も相まって最高の雰囲気。

ネットリテラシーが低いことで起きる悲劇なんてものは現実世界でも往々にして起きるものですし、現代を生きる我々にとっては心にくる設定であることは確かです。

スマホ一つがきっかけで怒る猟奇的な出来事、そして同時に起こる連続殺人事件、さらには麻美が自身の過去についての意味ありげな言動…
一体どうなるんだ!ワクワクとゾクゾクが止まりませんでした。

「可哀想」と「自分もきちんとしなきゃ」という思い


まあびっくりするほどのスピードで怒涛の悪夢が麻美を襲います。
観ている側としては当然の如く主人公に共感し「可哀想」と思いながらも「自分もネットのセキュリティは緩めずにきっちりと締めておこう」と思うワケですよね。
ここら辺は流石でした。まさにタイトル通り「スマホを落としただけなのに」ここまで人生が狂うワケですから。
ひょんなことで炎上するSNS界隈に馴染みがあるからこそ主人公視点で物語を観ることが出来る。
ここまでは良いスピード感だったのに…。

驚くほどの失速


映画の中で緩急をつけることは非常に大事です。特に本作のようなスピード感を求めるサスペンスにおいては「静と動」の描き分けは必須とも言えるでしょう。
しかし、一旦失速したまま勢いが戻ってこないのはダメだよ…。

登場人物に焦点を当てて気になった点を挙げていきますね。

バカリズムさん演じる小柳


大げさっていうレベルじゃないくらいに怪しい雰囲気ムンムンで登場。怪しいオーラ出し過ぎて「逆にこいつ絶対犯人じゃないわ」と思いました。
ミスリードにもなってないです。「犯人と思わせて本当に犯人」だとしてもつまらない。というか最初から疑わせる気がなかったのだと思いたい。

要潤さん演じる武井


初対面である麻美にいきなりキス。当然突き飛ばされますが「なにするんだ!!!」と逆ギレ
流石に意味が分からなすぎますね…。“ぶっ飛んでる男”として描くにも説得力不足ですし、ひたすらポカーンとするしかないのが正直なところでした。

千葉雄大さん演じる加賀谷


サスペンスとして犯人候補を何人も登場させたいのは分かります!とても分かります。
そしてその為、キャラに怪しい行動を取らせるのも当然のことです。しかし、この加賀谷刑事の“ある行動”は流石に意味不明が過ぎます。
「えっ、どういう設定で何なのこの人…」と思うしかないのです。
こっちとしては「この人も怪しいなぁ」とか考えたいのに!それなのに!

真犯人


顔芸です。

「気持ち悪さ」を出したかったのでしょうね。確かに気持ち悪かった。でも我々が求めている気持ち悪さではなかった…。
余りの顔芸っぷりに劇場でクスっとしてしまいました。シリアスなサスペンスもので犯人が猟奇っぷりをさらけ出しているのに笑ってしまったんです。これは明らかにサスペンスとして破綻しています。
「うわっ、この犯人怖いなぁ…」という気持ち悪さが欲しかったのに蓋を開ければ顔芸で笑ってしまうって…
どういうお笑いなの…。

クライマックス


ここまで散々引っ張ってきた「麻美の過去」が遂に明らかに!

まぁこれがしょうもない!!ホントにしょうもない!こんなに引っ張ることじゃないだろ!
この過去話がグッと惹きつけられる内容だったら充分に勢いを取り戻せたはずなのに。
ここでまずガッカリ

そして真犯人の行く末も消化不良感しか残らずにガッカリ
変に綺麗ごとを並べるよりも、悪いことした頭のおかしい奴が地獄に叩き落される様子を描いた方が絶対気持ちいいのに。

んでもって麻美と誠(彼氏)くん
余り汚い言葉は使いたくないのですが、馬鹿げた終わり方をしてくれます。
予想の斜め下とはまさにこのこと。後半は憐れみの目で観賞することしか出来ませんでした。ここでまたガッカリ

もう好きにしてくれや君たち

総評

細かいツッコミどころは他にもあります。麻美は派遣社員という設定なのに、そこそこ良い家に住んでいてダイソンの掃除機を使っていたり、妙なところでリアリティがない。

しかし、前半~中盤にかけてゾクゾク&ワクワクしたのは紛れもない事実です。
しかし「2000円近く払って映画館で観る価値はあるのか」と聞かれたら首を傾げてしまうのもまた事実。

もっと後半の盛り上がりがあれば…。肩透かし感がなければ…。
あんなに面白そうな予告をしておいてそりゃないよという内容でした。レンタルか配信されたらもう1回広い心で観てみよう。

この映画で心に残ったのは“顔芸”しかありません。

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