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『半世界』が示す「大人の在り方」

更新日:

2019年2月14日に先行上映。
翌日2月15日に公開される話題作『半世界』

東京国際映画祭で観賞したのですが、本当に感銘を受けました。
しかし!調査すると上映館が少ないようです…。公開するまでレビューは避けようと思っていたのですが、我慢できない!
少しでも情報が広まるように、ネタバレなしで魅力を伝えていけたらいいなと思います。

あらすじ

とある地方都市。山中にある炭焼き窯で、炭焼き職人として備長炭を製炭する39歳の紘(稲垣吾郎)は、帰郷してきた中学時代からの友人である元自衛官の瑛介(長谷川博己)と再会する。
彼の一言を契機に、紘は父親から何となく継いで炭焼きの仕事をこなし、仕事を理由にして家庭のことを妻・初乃(池脇千鶴)に任せていたことに気付く。
さらに別の同級生・光彦(渋川清彦)からは、息子の明に対して無関心だと言われてしまう。紘は仕事や家族に向き合おうと決意する一方、瑛介の過去を知り......。


日本の陰

舞台となるのは“とある地方都市”
言ってしまえばTHE・田舎です。日本の陰に当たる地方都市を舞台にしたことで圧倒的なリアリティと優しくも不安げな雰囲気が常に漂っており、冒頭から一気に引き込まれます。
これは是非とも地方で上映してほしい。東北の田舎町出身の私にとっては、光景の一つ一つが「うわー、懐かしい!」とノスタルジックを感じるもので胸に響いてしまいました…。

邦画にありがちなストーリーではある。

予告・あらすじから分かる通り、「邦画あるある」なストーリーです。地方都市の寂れた情景を描いた映画なんて数えきれないほどありますし、映画映えしやすい設定なんですよね。

ここで重要になるのは「構成力」
ありがちな展開をされると興ざめしてしまいます。その点『半世界』は構成力が見事。
映画自体は淡々と静かに進んでいくのですが、時間軸をうま~く見せてくれます。
ここら辺は流石阪本順治さんの書き下ろし。
ゆっくりとした展開なのに無駄なシーンが見当たりません。台詞の一つ一つに意味を持たせており、クライマックスが近づくにつれて「おぉ」と唸るばかり。

大人として生きるとは

半世界に登場する人物は全員が“いい大人”。
それでも「大人らしさ」はあまり感じません。どこかに隙があるんですよね。そこが人間の可愛らしさなのかな…なんて思ったり。

特に主演の稲垣吾郎さんが演じる炭焼き職人は結構なダメ夫。共感したくないのに共感してしまう絶妙なラインを突いてくるのがズルい。稲垣さんの演技力を改めて確認できる役柄でした。

隙のない役者陣

本作は脇を固めるキャストも実力派ぞろいです。
長谷川博己さん、渋川清彦さん、池脇千鶴さん。それぞれが役の個性を存分に発揮しています。
特に目を見張ったのは池脇千鶴さん。この方は地方都市と相性が良すぎる!どこか陰を持った雰囲気が映画とピッタリでした。

その他、全員が敢えて抑えた演技をしているのでリアリティが生まれ、ある意味ドキュメンタリーを観ているかのような感覚へと陥りました。素晴らしい!

傑作

声を大にして「超名作!!」」という映画ではないでしょう。
しかし、ジンワリと心に余韻を残してくれる大人の映画が『半世界』なのです。
「普通の生活が一番」とはよく言ったものの、では「普通」って何なんでしょう。そんな普遍的でありながら哲学的なテーマを内包した傑作。
お願いだから上映館が増えてほしいものです。

予告編


 

映画『半世界』

監督・脚本:阪本順治
キャスト:稲垣吾郎、長谷川博己、渋川清彦、池脇千鶴
公開日:2019年2月15日

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