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おすすめの黒沢清監督映画トップ10!不気味な世界観に酔いしれよう

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Jホラー界の巨匠として君臨している黒沢清監督
芸術性の高い作風は日本だけでなく、海外でも高い評価を得ています。本記事ではそんな黒沢清監督のおすすめ映画をランキング形式で10作品紹介!

黒沢清


生年月日:1955年7月19日
出生地:兵庫県神戸市
職業:映画監督・脚本家・映画評論家・小説家

10位 リアル~完全なる首長竜の日~(2013)

見どころ・あらすじ

自殺未遂で昏睡状態になった恋人を救うため、最新医療技術を通じて彼女の意識下に潜入した青年が、現実と仮想が入り乱れる意識の中に潜り続け、やがて衝撃的な真実にたどり着くさまを活写する。主演は、日本を代表する実力派の佐藤健と綾瀬はるか。

自殺未遂が原因で1年も眠り続ける幼なじみである恋人・淳美を救い出すため、浩市は昏睡状態の患者と意思の疎通が可能となる先端医療・センシングを受けることに。
センシングを繰り返し淳美の潜在意識に接触していくうちに、浩市は不思議な光景を見始めることになる。
現実と仮想の境界が崩壊していく中、浩市は淳美と幼少時代を過ごした島へと足を運ぶ。

ジャンルを超えた快作


ラブストーリー、SF、ミステリー、ファンタジー等々色々なジャンルを混ぜて作り上げたのがこの作品です。光の使い方や風の描写など、細部まで計算され尽くした撮影手法は見事の一言
ホラー映画で名を挙げた黒沢監督らしく、所々で入る怖くて不気味な演出も流石の巧さ
“意識の中に潜入する”というアイディアを見事に映像化した手腕に感動するばかりですし、現実とバーチャルが交差していく様はまさにSFホラーという感じがビンビンします。

様々なジャンルをごちゃ混ぜしたことで、とっ散らかってる印象も拭えませんが、奇妙で薄気味悪い雰囲気が好きならば、きっと忘れられない一作になるはず!
「黒沢清ってこんな見せ方するんだ」と知りたいならお勧めの一作です

9位 クリーピー 偽りの隣人(2016)

見どころ・あらすじ

第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕の小説を映画化。隣人に抱いた疑念をきっかけに、とある夫婦の平穏な日常が悪夢になっていく恐怖を描く。

刑事から犯罪心理学者に転身した高倉はある日、以前の同僚野上から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。
だが、たった一人の生存者である長女の早紀の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。一方、高倉が妻と一緒に転居した先の隣人は、どこか捉えどころがなく……。

本当に怖いのは誰だ?


この作品もまた黒沢清節が全開です。説明が排された台詞、不気味ながらもどこかチープな演出などなど、言葉ではなく映像で語る作品だということを念頭に置いてから観賞するのがベストでしょう

あらすじや予告を見ると、幸せを築いている心理学者がイカれたサイコ犯によって日常を蝕まれていくというストーリーに見えますが、実際はどうでしょう。
あたかも隣人(香川照之)だけが狂っていると思わせるような魅せ方をしていますが、実はこの映画に出てくる人物は全員が少しおかしいのです。

ハッキリさせない終わり方に批判が集中しがちですが、じっくりとこの映画を観て欲しい。それもあらゆる視点で!
そうすれば恐ろしい考察が浮かんでくるはず…
本当に怖いのは誰なのか?勝手な思い込みが物語に不必要なバイアスをかけていることに気付かされるサスペンス劇が本作なのです

8位 ドッペルゲンガー(2002)

見どころ・あらすじ

自分の分身を見る現象「ドッペルゲンガー」をテーマにしたサスペンスホラー
ある企業の研究員が自身の分身を見たことから日常の崩壊が始まる

早崎道夫は、医療機器メーカー、メディカル・サイテック社のエリート研究者。彼は10年前に開発した血圧計が大ヒットしたことで、次の開発へ向けて周囲から期待を寄せられている。
だが、今では助手と共に人工人体の開発を続けるもはかどらず、上司からもたびたび進捗状況を問われ、ストレスを募らせていた。
そんなある日、スランプ状態に陥る早崎の前に突然、彼に瓜二つの外見を持つ分身“ドッペルゲンガー”が出現した。そして、早崎が必死にその存在を否定する中、分身は彼に協力するために現われたと告げるのだった…。

単なるホラー映画ではない


自分の分身が目の前に現れる。という世にも奇妙な設定がウリの映画です。ドッペルゲンガーを扱った作品は他にもあれど、本作は使い方が本当に上手
“自分”という存在にをたら占める理性と本能のバランスが崩壊する様、“自分ではない自分”から無意識的に影響を受けていく主人公・早崎の様子は非常に興味深く、終始見入ってしまいました

全く同じ姿なのに、自分とは対極にいる存在。自分が隠している面が前面に出ているその分身は羨ましくも疎ましくもある摩訶不思議な存在です。
ある種の同族嫌悪ともいえるかもしれません

クライマックスで一番見せて欲しい部分をあえてごっそりカットする黒沢節は賛否が分かれるでしょうが、「見る側のセンス・考察に委ねる」という挑戦的なスタイルは、まるで視聴者側が「ドッペルゲンガー」の作品内に参加しているような感覚になって非常に面白いです。

7位 Seventh Code

見どころ・あらすじ

前田敦子をヒロインに迎えたサスペンスドラマ。ロシアのウラジオストクを舞台に、一人の男を追い掛けて異国に流れ着いた主人公をめぐる不可思議な物語を紡ぎ出す。

秋子(前田敦子)は松永(鈴木亮平)という男性を追い掛け、ウラジオストクを訪れる。ようやく極東の街で念願の相手と再会を果たすものの、向こうは彼女のことなどきれいさっぱり忘れていた。
ある日、斉藤(山本浩司)が経営する小さな食堂で働きながら松永の行方を探していた秋子のもとに、ようやく情報が入ってくる。

あっちゃんのPV


元々は前田敦子さんのシングル曲「セブンスコード」のミュージックビデオとして制作されたものとうこともあって、ストーリーは至極単純
これを見れば、エンタメに全部りした黒沢清が見えるはず。60分という短い時間の中でストーリーを畳んでいるので、本当に無駄がなくテンポ抜群です。
前半でばら撒いた伏線を後半で一気に回収していくのも、爽快感が増して素晴らしい展開でした。

主演を務めた前田敦子さんの演技力も見事で、アイドルではなく“女優・前田敦子”として輝きまくっています。
画面の雰囲気と不釣り合いなはずのBGMも不思議とマッチさせる絶妙な不自然さは黒沢清監督にしか出せない味でしょう

サスペンス色が強そうなのに、アクション満載というギャップも最高ですね!

6位 叫(2006)

見どころ・あらすじ

ある連続殺人をきっかけに、過去と現在が入り乱れる迷宮に足を踏み入れる刑事の苦悶をあぶり出す。

連続殺人犯を追う刑事の吉岡の頭に、ある日、ふと自分が犯人ではないかという疑問が浮かぶ。曖昧な自身の記憶にいら立ち、苦悩する彼を恋人の春江は静かに見つめている。吉岡は同僚の宮地の勧めに従い、精神科医の高木の元でカウンセリング治療を始めるのだが……。

真っ赤な女


夜の暗い路地裏に真っ赤なワンピースを着た女性が倒れている。水たまりにその女の頭を押さえつけて殺そうとしている謎の男…今まさに殺人事件が起こっている
その女性が着ているのか真っ赤なワンピース。そして不穏さを醸し出す足の曲がり方

このゾクゾク感こそ黒沢清ワールド!冒頭から全開で襲い掛かってきます

日常の中に降りかかってきた「猟奇殺人」という違和感、さらに「真っ赤な服を着た女」という違和感もプラスされ、もう世界観は滅茶苦茶です
リアリティがありそうなのにないという不思議で怖い雰囲気を味わってほしい傑作Jホラーだと思います

画面全体をよく見ないと気付かないような表現方法も散りばめられており、黒沢監督のセンスを感じることができるのも素敵

5位 岸辺の旅(2015)

見どころ・あらすじ

湯本香樹実が2010年に上梓した小説を映画化。3年間行方をくらましていた夫がふいに帰宅し、離れ離れだった夫婦が空白の時間を取り戻すように旅に出るさまを描く。

3年間行方不明となっていた夫の優介がある日ふいに帰ってきて、妻の瑞希を旅に誘う。
それは優介が失踪してから帰宅するまでに関わってきた人々を訪ねる旅で、空白の3年間をたどるように旅を続けるうちに、瑞希は彼への深い愛を再確認していく。
やがて優介が突然姿を現した理由、そして彼が瑞希に伝えたかったことが明らかになり……。

霊となった夫と繰り広げるロードムービー


「生きていることと死んでいることの違い」とは一体何なんでしょうか?
“幽霊がいる”と仮定した場合、死んでも幽霊として生きているのなら、それは死とは呼べるのでしょうか

本作では、3年前に死んだはずの夫が突然目の前に現れます。妻はそのまま夫と一緒に、生前の足取りを追うために電車で2人旅へ
知っているようで知らない夫婦の歪さ。知ることで傷付くこともあれば、癒される事もある…

深い悲しみは中々癒えません。特に大切な人の死という出来事を受け入れることなど尚更です。しかし、事実を知って、自分を責めることをやめる
そうした時に見える景色を見せてくれる優しくてじんわり響く映画です

4位 アカルイミライ(2002)

見どころ・あらすじ

第56回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品もされた黒沢清監督の代表作。と同時にオダギリジョーの映画初主演作でもある。

仁村雄二は、同じおしぼり工場で働く同僚・有田守と公私ともに淡々とした日常を過ごしている。
雄二は他人と上手く渡り合えず無鉄砲な性格。そんな彼を見兼ねた守はある日、彼ら2人だけしか分からない2つのサインを提案し、それを徹底させようとする。
その頃から雄二は守が飼っている猛毒の“アカクラゲ”に興味を示すようになった。ある時、守はそのクラゲを雄二に託して突然姿を消す。
守は工場の社長夫妻殺害の容疑者として収監されていた。以来、雄二は戸惑いながらも、何かに取り憑かれたようにクラゲの世話を始めるのだが…。

好き勝手に生きるという事


難解だと言われがちな黒沢作品の中でも、分かりやすいほうに入る映画でしょう。現実から逃げたくという感情は人間なら誰しも持っているといっても過言ではないもの
しかし、それと同時に私たちは現実からは絶対に逃げられないということも知っています

本作で頻繁に出てくるクラゲ
毒を持ったクラゲは社会の悪として虐げられる若者のメタファーとして示されているのも実に黒沢監督らしい芸術的観点です。

社会における自分の居場所を分かっているようで分かっていない若者の心情を少ない言葉で見事に表現しきった傑作ドラマ映画だと思います
自分と他人、世代間の感覚のズレを絶妙な黒沢節で描かれている本作を観終わったあと、一体何を感じるのか。
じっくりと自分の中で咀嚼したくなる一作

3位 トウキョウソナタ

見どころ・あらすじ

東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。
ありふれた家庭を壊していくさまを現代社会を映す鏡として描く。リストラを家族に言えない主人公を香川照之が好演するほか、小泉今日子、役所広司ら実力派が脇を固める
日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。

仕事に没頭する毎日を送っている平凡なサラリーマンの佐々木竜平は、ある日突然、長年勤め上げた会社からリストラを宣告されてしまう。
一方、世の中に対して懐疑的な心を持っている長男・貴は家族から距離を置くようになり、一家のまとめ役だったはずの妻・恵にも異変が起き始めていた。

雑音すら愛おしくなる


ごく普通の家族を通して描く“日本が抱えている問題”をあぶりだした傑作。ごく普通の家族だからこそ見えてくる問題を鮮明にドラマチックに映し出してくれます

リストラがきっかけで揺れ動く家族のマイナス面を見事に丁寧に描かれているのが特徴です
少しでも冷静になって感情を抑えれば、何事もなく過ぎていきそうな出来事なのに、ついマイナスな方向へと舵を切ってしまう…。確かに人生ってそんなことの繰り返しかもしれません

あまりにリアリティが過ぎるとフィクションとして描く意味がなくなることを考え、所々に「ありえない」「ファンタジーチック」と思わせるような雰囲気と演出と重ねてくるのも実に黒沢監督らしくて憎たらしい!

ささやかな希望を見せてくれるクライマックス。小さな希望でも、心地の良い光を見つけた時の安心感は格別です。
芸術性と社会性を絶妙なバランスで混ぜ合わせたビターな家族物語

2位 CURE(1997)

見どころ・あらすじ

黒沢清の名を一躍メジャーシーンに押し上げたサスペンスホラーの傑作
『羊たちの沈黙』から着想を得たというストーリーは観る者の心を掴んで離さない

奇妙な殺人事件が立て続けに発生していた。
それぞれの事件の犯人につながりはないが、犠牲者の首から胸にかけてがX字型に切り裂かれていること、いずれの加害者も事件直後に犯行現場付近で逮捕されること、そして犯行の直前まで犯人に明確な殺意がなかったことが共通していた。
やがて、一連の事件に関連のある人物として記憶喪失の放浪者、間宮が浮かび上がる…

難問映画


これもまた説明台詞の少なさ、圧倒的な不気味さが際立つ異色作です
関連がないと思っていた殺人事件は、実は同一犯による連続殺人だった…。そしてその裏に隠された真実とは一体…
とここまで書くと、最後に真実が分かってスッキリ!というパターンを想像しまいがちですが、そこは黒沢イズム。モヤモヤを残して映画を終わらせてきます

他の映画では中々見られない長回しの多用、あざとく引いた撮り方など、人の心の根底にある恐怖心を煽ってくるような演出が満載
何も入っていない洗濯機を回し続ける妻、ぶつぶつ小言を言う不気味な男、切れかけている電球…。思い出すだけで不安感が増すようで恐ろしいです

サイコ系の映画が好きな人ならば、きっと金銭に響くであろう芸術的サスペンススリラー

1位 散歩する侵略者(2017)

見どころ・あらすじ

劇作家・演出家の前川知大が結成した劇団イキウメの舞台を映画化。数日間失踪したのちに様変わりした夫が妻のもとへ戻ったのを機に、平穏だった町が変化するさまを描く。

鳴海(長澤まさみ)の夫・真治(松田龍平)が、数日間行方をくらまし、別人のようになって帰ってくる。これまでの態度が一変した夫に疑念を抱く鳴海は、突然真治から「地球を侵略しに来た」と告白され戸惑う。一方、町ではある一家の惨殺事件が起こったのを機に、さまざまな現象が発生し、不穏な空気が漂い始める。

日本のSF


「概念を奪う」という恐ろしい能力を持った宇宙人が地球への侵略を開始していた…。なんてゾクゾクするストーリーなんでしょう!
日本でSF作品を撮るのは非常に難しいと言われています。予算の少なさやハリウッドと比べた時のCGレベル等々、様々な要因から、邦画とSFは相性が悪いと思っていました。
しかし、本作ではその概念を奪ってくれます
日常の中に突如として沸き上がる狂気・不安の連鎖。なす術もない人類の脆さや宇宙人から見た人間という存在の面白さも感じることができ、日本でSF映画を撮るお手本のような作品だと思います。

シリアスなシーンの中で絶妙に光るユーモアのセンスも最高のエッセンスとなっており、視聴者を飽きさせません。
最後の最後はロマンチックで切ない終わり方をするのも非常に良いですね。これぞ「愛は地球を救う」を映像化した作品でしょう


最後に

黒沢清監督の特徴として

  • 廃墟やダークファンタジー風建物を使った美術
  • 台詞ではなく、映像で表現する心情
  • 不気味で薄気味悪い光の使い方
  • 日常を非日常が覆ってくる恐怖感

が代表的なものとして挙げられると思います。難解で好みが分かれる作風ではありますが、ホラーセンスとエンタメセンスをここまで両立させている監督は世界を見渡しても中々いないのも事実!
是非とも黒沢清作品に触れて自身の感性を研ぎ澄まさせてください

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