遺族に無断で事件を映画化 監督に批判の声殺到

イギリスで、過去に起こった児童虐待事件をもとにした映画が作成された。

しかし、この作品の指揮を執った監督が事前に被害者遺族の許可を得ていなかったことが判明。

世間から批判の声が相次いでいる。

ジェームス・バルガー事件

1993年2月12日、マージ―サイド州ブートルで起こった少年2人による児童殺害事件。

当時2歳だったジェイムズ君は、一緒に買い物に来ていた母親を店の外で待っているほんの数秒の間に、学校を無断欠席していた少年2人に連れ去られた。

その後2人はジェイムズ君に激しい暴行を加えて線路に放置。

ジェイムズ君の遺体は、行方不明になってから2日後に無残な姿で発見された。

当時、犯人2人がまだ10歳の少年であったことに世間は大きなショックを受け、事件から26年近く経った今でも「最も凶悪な事件」のひとつとして人々の記憶から消えることはない。

遺族に無断で映画化

問題となった作品は『Detainment(勾留)』とタイトルがつけられた30分のショートフィルム。犯人の少年2人が警察で取調べを受けているシーンを再現したものだ。

この作品は現在、第91回アカデミー賞短編映画賞の最終選考に進むショートリスト10作品の1つに選ばれている。

しかし、監督を務めたアイルランド人のヴィンセント・ラム氏(37歳)が作品を撮る前に被害者遺族への連絡をしていなかったことが判明。民放局ITVの『Good Morning Britain』で本人が事実であることを認めた。

ラム氏によるコメント

番組に出演したラム氏は、「なぜ被害者遺族の許可を求めなかったのか」という司会者らからの質問に対してこのように答えている。

もちろん事前に連絡することを考え、とても悩みました。ですが連絡していればきっと反対されただろうし、この作品は完成しなかったと思います。

被害者遺族の方々には大きな同情を寄せていて、彼らが乗り越えなければならなかった苦悩を思うと私も胸が痛む思いです。

私の作品は彼らに更なる苦悩を与えるために作ったのではありません。

きっと遺族にとって、この作品を見るのはとても辛いことでしょう。作品の中で、私は犯人の少年らを人間味のあるものとして描いていますが、これも被害者遺族にとっては不快でしかないと思います。

同じことが私や他の誰の身に起こっても、きっとジェイムズ君の両親と同じ気持ちになるでしょうから。

内容に関しても疑問が

ジェイムズ君の母デニースさんは、「(映画について)一度も連絡をもらっていないし、許可も求められていない」と不快感を露わにし、激怒。

さらに、ラム氏が「当時の警察のインタビュー記録からの引用でほぼ完全に構成されている」と言った映画の内容についても疑問の声が上がった。

当時、犯人の少年2人を逮捕し捜査にあたった元刑事局長アルバート・カービー氏によると、「作品は忠実さに欠けている」とのこと。

また、「この事件に関わった全ての人々への影響を考慮せずに作成され、誠実さに欠いている」と苦言を呈している。

批判の声が殺到

「今後このようなことが起こるのを防ぐためにも、もっと深く事件を理解すること、犯人の育ってきた環境を知ることが大切なのではないでしょうか。」と語るラム氏。

しかし、番組の司会者は「バルジャー家の悲劇を利用して称賛と賞を得ようとしているに過ぎない」と非難。

このニュースを知った人からも「私たちがそんな映画を見たいと思う!?」「上映禁止にすべき」といった、多くの批判の声が相次いだ。

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