『オルカ』こそ最強で最高の動物パニック映画だ

誰もが聞いたことのある動物パニック映画と言えば『ジョーズ』でしょう。
ジョーズの大ヒットを受け、同時代に多数の動物パニック系映画が製作されました。その中でも異彩を放ち、人気があるのが『オルカ』
私は本作こそ動物パニック映画の頂点なんじゃないかと思っています。

あらすじ

カナダ・ニューファンドランドの漁師ノーランは、水族館へ売るためにメスのオルカ(シャチ)を生け捕りにしようとするが、妊娠している子供もろとも死なせてしまう。
妻子を失ったオスのオルカは、ノーランの仲間や港の設備を襲う。苦悩しながらもオルカとの対決をノーランは決意する…。

オルカは優しい復讐者


オルカの何が画期的だったのか。それは「動物が悪ではない」という点です。
例えば「ジョーズ」であれば、サメは完全な悪でしたし、突如人間を襲う怪物という扱われ方をされていました。
その完全な悪をどう倒すかが見どころであり、我々がカタルシスを感じる点だったはず。
しかし『オルカ』は違います。オルカが人間を襲うのはきちんとした理由がある。それも「妻と子どもを殺された」という誰でも同情できる理由です。

オルカ登場シーンなども含めて、本作では徹底的にオルカを慈愛に満ちた神々しい存在として扱っています。
対照的にノーランはどこまでも人間臭くリアルに描くことによって、綺麗な対比が出来ある訳です。そして人間の傲慢さ、愚かさが強調されるという構図に。

人間が完全に悪役?


この映画を観ていたらどうしたってオルカの方を応援したくなります。では対決するノーランが「完全なる悪役」かとなると、これがそんな事ないんですよね…。
だってノーランは、愛する妻を交通事故で亡くしているのだから。そう、ノーランにはオルカの気持ちが痛いほど分かってしまうのです。もはやパニックムービーじゃないじゃないよこんなの…。
ノーランは自分に対して復讐の鬼と化したオルカの気持ちを悟ります。「そうだ。あいつは俺自身なんだ」と。

パニック&アーティスティック!

オルカVSノーランの対決シーンはエンタメ性抜群です。ジリジリと追いつめられていく心理状態、オルカに対する恐怖心…。思い出しただけで鳥肌が立っちゃうレベル

さらに本作は、とにかく映像・音楽が素晴らしい。夕陽をバックに泳ぐ二頭のシャチ、全編通して流れる名作家、エンニオ・モリコーネによる哀愁漂う曲たち…。切なくて儚い名ラストシーンも見事に彩ってくれます。
どこか詩的で思わず芸術性を感じてしまうんですよね。うわー、もう1回観たくなったな…。

絶対見てほしい

現在でも定期的にパニックムービーは制作されていますが、どれもド派手なCGとデッカイモンスターに頼ったものばかり。確かにその方向性でも面白いし楽しいのですが、たまには一味違った「哀愁」を感じてみては?

(シャーロット・ランプリングがほんとキレイ)

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