なぜ『ラ・ラ・ランド』は心を揺さぶるのか

皆さんにとって「何度も見たくなる映画」は何ですか。
私はダントツで「ラ・ラ・ランド」なんです。
夢を追うことの大変さ、誰もが経験する恋愛の切なさ…。使い古された設定なのに、なぜ本作はこんなに心を揺さぶるのか。

ラ・ラ・ランドのレビューなんて見飽きたかもしれませんが、今一度この名作の素晴らしさを伝えたい!

ストーリーは至極単純

 

もうストーリーは超単純です。
「偶然出会った男女が恋に落ち、それぞれが夢を追う」ざっくりと言えばこんな感じ。
何百回、何千回と作られてきた王道もの。
特にミュージカル映画ではありがちなストーリーですよね。

オシャレで色鮮やかな演出

とにかく演出が素晴らしい。
今となっては超有名となった冒頭のミュージカルシーンが表わしているように、今作は「ワンショットの長回し」が多分に使われています。

この演出って飽きるか飽きないかをギリギリに攻めてるんですよね。一歩間違えば「画面が変わり映えしないから退屈」と受け取られてしまいがち。
それでも飽きさせないのは、丁寧に計算された構図と色彩でしょう。

ほら!凄いカラフル!何度見ても「綺麗だなあ」と思います。

んでもって構図も完璧。上記のシーンなんか最たる例です。画面のど真ん中に主演2人を置いて画力を強めてます。これが少しでも近づきすぎたり、遠すぎてもダメ!(個人的見解です)

画面のどこかに常に「差し色」を入れておくことで、画面全体を一気に華やか且つ楽しいものにしてくれます。

「夢を追うこととは何か?」視聴者に訴えかけるストーリー

さきほど「至極単純なストーリー」と言いました。物語中盤までは本当に単純なんです。

本当に追っている夢と種類は違えど、確実に成功への道を掴んだセブ(男)
真っすぐ、ひたすら真っすぐに自分の夢を追うが、誰からも振り向かれないミア(女)
この2人の話が一気に動き出す中盤以降はグッと話に引き込まれます。

恋人同士として、嬉しい事も苦しい事も言い合って、乗り越えてきた2人に訪れる最大の苦難。
「やりたいことを追う」って簡単じゃないなって改めて考えさせられる展開が待ち受けています。
映画の始まりはあんなにハッピーな雰囲気醸し出してたくせにさぁ…。やってくれるよ全く…。

ラストについて思うこと

※ここからはネタバレありで語りますのでご注意を!

男目線で言うとこの映画バッドエンドだと思うんです。
最終的にセブは本当に思い描いていた夢を手にすることは出来ていない。それとは対照的にミアは女優として絶対的な地位を築いています。

ラストのシーン。セブは成功を手に入れたミアを見て微笑みます。

この微笑には色んな意味が込められているのでしょう。
「色々あったけど君と出会って過ごした時間は宝物だよ。」とか「あの時ああしていれば良かったな」という後悔まで、数えきれないほどの感情が渦巻いた結果がこの微笑み。

でもね、これは絶対ハッピーエンドじゃない。
ハッピーエンドだったら、最後にもう一回ミアと恋愛関係になって「やっぱり貴方が一番」的な終わり方をしているはず。

人生で選んだ選択肢への後悔。夢を追うことの儚さと青臭さへのやるせなさと、純粋に生きていた時代への回帰願望…。

綺麗ごとだけじゃ生きていける訳がないけれども、忘れちゃならない純粋な気持ちもある。
そんな「人生の儚さと脆さ」をラ・ラ・ランドは伝えたいんじゃないかなと思います。

ある意味、破滅の中にある美しさを描いた映画なのかな…。
こんなに気持ちのいいモヤモヤを与えてくれる映画はラ・ラ・ランドだけかも。今日帰ったらもう1回観よう。

執筆=広田昂大