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驚異の満足度!『シシリアン・ゴースト・ストーリー』を見るべきワケ

実際に起きた誘拐事件から着想を得て制作された切ない恋物語『シシリアン・ゴースト・ストーリー』
大手レビューサイト『Rotten Tomatoes』で評論家満足度94%を叩き出したこの傑作を見ないのはあまりに勿体ない

シシリアン・ゴースト・ストーリー

作品解説

シチリアで起きた誘拐事件から着想したラブストーリー。好きな同級生が姿を消し、13歳の少女が事件の真相を追う。
メガホンを取るのは、『狼は暗闇の天使』でも組んだファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァ。
ガエターノ・フェルナンデスとユリア・イェドリコフスカが主人公の少年少女を演じ、ヴィンチェンツォ・アマート、サビーネ・ティモテオらが共演した。

あらすじ

ルナは、同級生のジュゼッペへの思いをつづったラブレターを渡そうと、乗馬の練習のために森へ向かう彼の後を追い掛けていた。
ルナは彼に手紙を渡し、その告白にキスで応えてもらった後、厩舎に行ったジュゼッペを待つが、一向に戻ってこない。
彼はそのまま行方知れずとなり、数か月後にマフィアに誘拐されたことがわかる。

残酷的に美しい映像

絶世の美少年が突如姿を消すというミステリアスな展開で動き出すストーリーは、嫌でも興味がそそられてしまうはず
さらにこれが実際に起きた事件を基にしているとなれば尚更だ。

本作で目を引くのが圧倒的な映像美だろう。登場人物の心情がそのまま反映されているかのような景色、美しくも悲しさを感じざるを得ない夜景の数々。
少女が抱く幻想と現実が入り混じるファンタジックな映像は観る者の感性を次々とえぐってくる。
陰鬱なストーリーだからこそ光る美しさは計算されたものなのか。それとも映画というフィクションが作り出した奇跡の幻想なのか

詩的な雰囲気は人を選ぶ?

予告を見てもらえれば想像は付くだろうが、本作は一貫して静かで叙情的な雰囲気が漂っている。

これを“芸術的”と取るか“退屈”と取るかは人それぞれの感性によって大きく異なるポイントではあるが、少しでも予告や画像から溢れ出る雰囲気が気に入ったのなら、本作は間違いなく良作として受け入れられると断言しよう。

台詞に頼ろうとしてはいけない。画面上に映る景色、小物にキャラの心情はそっと隠されているのだから。
そのサインを見逃さないようにしてほしいということだけは声を大にして言いたい。

1993年、実際に起きたマフィアによる誘拐事件を基にしているという断片だけ見ると、リアリティ強めの社会派作品だと思ってしまうのもやむを得ない。
しかし、本作ではふんだんにファンタジックな演出が散りばめられている。まざまざと辛い現実を見せつけるのではなく、少女と少年の心情を美しく表現しきった演出についていけるかどうかが評価を分ける重大なターニングポイントになる。

ラストで見せる美しくて悲しい“あるシーン”は響く人の方が多いだろう。
「人を好きになること」
散々芸術作品で言及されてきたテーマではあるが、本作が示すそのテーマへの答えはかつてないほどに残酷で綺麗なものだった。

映像、音、台詞…どこを切り取っても琴線に触れること間違いなしの美しさで構成された『シシリアン・ゴースト・ストーリー』
この世に無意味な生など存在しないとこの映画は教えてくれる。