『インセプション』は最高の脳内麻薬だ

夢の中へ侵入し、他人の潜在意識を盗むという画期的なアイディアを見事実写にまとめた『インセプション』
私は本作を「脳内麻薬」と認識しています。最高の映像体験が我々を刺激し、どこか夢の彼方へ連れて行ってくれるのです。

あらすじ

コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗むことのできる優秀な人材だった。彼は、企業スパイの世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまう。そんなある日、コブの元に“インセプション”と呼ばれるほぼ不可能に近い仕事が舞い込む。

圧倒的映像クオリティー

夢の中って何でもアリですよね。私もよく夢の中ではヒーローになったり、重力がない世界に行ったりしているものです。
そんな何でもありの夢という世界を完全に映像化したのが『インセプション』
街の空間が歪んだり、いきなり水が噴き出してきたりとまさに何でもアリのオンパレードです。
個人的に大好きなシーンが、ホテルの中で格闘を繰り広げるシーン。無重力のバトル&「ペンローズの階段」を利用した騙し合いなど、観ていて飽きる時間が1秒たりともありませんでした。

知的好奇心と厨二心をくすぐるストーリー

難解なストーリーなんて言われる事も多い本作ですが、話の道筋はいたって単純
ある会社を崩壊させるため、跡取り息子にマイナスとなる「潜在意識」を植え付ける。
たったこれだけです。その方法として夢の中への潜入が必要になるということ
確かに少しでも目をそらしたら置いてけぼりにされるような映画の作りではありますが、決して分かりにくい話ではないです!

戦隊ヒーロー感

そして私がインセプションを愛して止まない理由、それは「厨二心をくすぐる」という点
夢の中へ潜入するためにプロフェッショナルを揃えていくのですが、その様がまるで戦隊ヒーローのよう!
というか意図的にヒーロー感を出していると思うんですよね。全員が全く違う個性を放っていますし、「スーパー戦隊インセプションズ」って名前でも充分納得できます。

ちなみに

映画の主要人物の名前を並べてアタマの一文字を抜き出すと、DREAMS(夢)という単語に…!

D(Dominic Cobb)
R(Robert)
E(Eames)
A(Arthur、もしくはAriadne)
M(Molly Cobb)
S(Saito)

いやめっちゃ厨二心くすぐる~!!!最高の名前トリックですね

難解なのは雰囲気だけ

「インセプションは難解」って良く聞く評価です。いやちょっと待て!難解なのは雰囲気だけなんです。

夢のルール

1.夢では時間経過が遅く感じ、夢のまた夢は更に遅くなる
2.夢と現実の区別がつかなくなると危険
3.夢で死ぬか、上の階層で眠った自分に衝撃を受けると上の階層に戻る
4.鎮静剤で深い眠りについた夢では死んでも現実に戻れない。 最悪の場合は虚無に堕ちる
5.上の階層で受けた刺激にリンクして、夢では重力異常などの現象を産む

あ、こうして書いてみると意外と面倒くさいな…。と思ったんですが映像で見るとすんなり入ってくるのが『インセプション』
時間軸を意図的にズラすようなトリックもないので、結構優しいストーリーなんです。
「今見てるのは夢か現実か」の区別さえつけば難解なんて感想は絶対に出ない。というかノーラン作品は意図的に難解っぽい雰囲気を醸し出すのが好きですからね。
雰囲気だけ難しくて中身はシンプルという考えのもと観てほしい!

自分自身の夢すらも完全に理解出来ないのが人間ですから。本作もそこまで頑張って理解しなきゃと思わなくて良いんです。所詮夢の話…というテンションで鑑賞しましょう

果たしてこれは現実?

本作最大の見どころであり、視聴者を悩ませるのがラストシーン。

主人公のいる世界は果たして夢か現実か…。結局分からないままこの映画は終わります
普通に考えれば現実です。いや9割方は現実世界で間違いない。

とか色々考察したくなるんですが、監督であるノーランはこう語っています。

最も重要なことは、あのシーンでコブがコマを見ていないということだ。あの時彼は、コマではなく子供たちを見つめていた。
コブはコマを捨てた、ということなんだ。

夢か現実かというのが重要なのではなく、いまこの世界で自分は何をしようとしているのかが一番大事なのです。
ひょっとしたら今この瞬間も夢かもしれません。本当の現実には「インセプション」なんて作品も存在せず、いつ覚めるか分からない夢を私たちは見ているのかも…。
でもそれでも良いじゃないですか。貴方は何かのきっかけでこの記事を選び、読んでいる。この現実を選択している。それが全てであり、きっとそれが正解なのです。

夢は完璧。でも…

劇中で主人公のコブが言うセリフ

君は複雑で完璧で、でも欠点もあるあのモルじゃない できるだけ本物に近づけても、やっぱり君じゃダメなんだよ」

死んでしまった妻・モルと夢の中なら何度でも会える。一見幸せな夢です。でもあるときコブはやっと気付く。「夢にすがって生きていちゃ何も変わらない。何も生まないんだ。」と
100を求めるのが人間ですが、絶対に100にはならない事も知っている。埋まらないからこその幸せ・実感があるんですよね…。なんて我儘な生き物なんでしょう

最高の麻薬

気持ちが悪いような、良いような奇妙な刺激を与えてくれる『インセプション』
本作を観た我々は、知らず知らずのうちに潜在意識を植え付けられているのかもしれません。