『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』感想 どうすりゃいいんだこれ…

TVドラマ『時効警察』などを手掛けた三木聡さんを監督に据えたコメディー映画として大注目の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』
主演に阿部サダヲ、ヒロインに吉岡里帆。脇を固めるキャストも超豪華…
さらに設定も面白そう!こりゃ期待大だ~!

あらすじ

絶大な人気を誇るロックスターのシン(阿部サダヲ)は、誰にも言えない秘密を抱えていた。それは、彼の歌声が“声帯ドーピング”という方法で作られているということ。しかし彼の喉は副作用で限界の一歩手前まできており、声が出なくなる恐怖におののいていた。ある日シンは、声が小さいストリートミュージシャンのふうか(吉岡里帆)と出会い……。

あれ?


個人的な話なんですが、私は三木聡作品が好みです。特に『時効警察』『熱海の捜査官』辺りは本当に大好きで毎週とても楽しみにしていました。
独特の緩いギャグと世界観を期待して鑑賞した結果、浮かんできた言葉は「あれ?」だったんです。
どうしたってんだよ一体…。

ギャグが笑えない


三木聡さんですから、随所にギャグを織り込んできます。しかし、これがまず笑えない。最初っから三木節を存分に発揮するんですが、全然ついていけない
「分かる奴は分かるよ」っていうテンションがずっと続く感じです。正直これはいけないなと感じました。
三木聡が好きなのに笑えない理由は

「この映画でやっちゃ駄目でしょ」

という言葉で説明できちゃうんです。
『如何にもマニアックな映画』ですとか『深夜ドラマ』だからこそ許容できるノリでしかない…。
三木作品に大衆性は求めんな!と言われそうなんですが、明らかに大衆性を狙ったキャスティングと宣伝してますしね。そりゃ文句も言いたくなるよ

テンションが分からない


これも大問題です。映画と言うのは作品それぞれに見合ったテンションがあるはず。如何にして観客を正解のテンションへと持っていけるか。これが映画においては相当重要な要素となります。

しかし!本作は最後までついていけなかった。
ギャグシーンで笑ってるのはスクリーンの中のキャラだけ。感動シーンぽいところで良い表情してるのもキャラだけ。
コメディーなのかハートフルなのか。どっちもやりたいにしても中途半端で終わっちゃってる…。

コンセプトやストーリーの骨組みだけを見れば、めちゃくちゃ面白そうなのに、予想以上に中身がスッカスカで拍子抜けしちゃったのが問題です。
よく「頭を空っぽにして見れば面白い」なんてレビューを見ますが、本当に空っぽにしたことがあるのかと問いたい。
いくら空っぽにしようとしても自然と物語の背景やテーマを考えてしまうのが我々人間です。
んで本作…。空っぽにして見るにはストーリーを見せたがるし、感情移入させるには無理がある展開。

もう、どういうテンションで観るのが正解なの!?教えて!

カメラワークどうしたぁ!?


めっちゃ揺れます。こんなに揺れちゃうの?ってくらいカメラワークがグワングワンです。
ほんっとにイラついた(笑)
何でそこで斜めに撮るの!?とか、そんなに揺らさないでよ!と言いたくなるシーンが沢山です。何かの意図や芸術的観点からカメラワークに手を加えているのなら分かるのですが、全く意味を感じない。
監督の意図が伝わらなかった俺が悪い。きっとそうなんです

演技とある名言


唯一グッときたポイントがここです。
阿部サダヲの演技はやっぱり素晴らしい。シリアスもいけますしコメディーだと光りますね。当然ライブシーンもあるのですが予想通りカッコいい!流石ボーカルやってるだけあります。

そして何と言っても吉岡里帆さん
本当に可愛い。もうびっくりしました可愛すぎて
泥だらけになっても、変なテンションで騒いでも、何したって可愛い。


ただツッコミのポジションはあまり似合ってないかもしれません。天然ボケのムカつく女を演じさせた方が光る気がするなあ…。
「可愛い」で済まされたら女優としては最悪でしょうが、申し訳ないです。許してください

劇中で一番大事な台詞であろう「やらない理由を探すんじゃねぇ!」これは素直にいい言葉だなと思いましたし少しだけ熱くなりました。

「分かる人には分かる」じゃ済まされない

「まあ三木聡作品だから、好き嫌いは出て当然だよ。僕は好きだけどね。」
多分こんなことを言い出す人が出てくるでしょうが、本作はその言葉で許されないと思っています。
半端ない宣伝とキャストの豪華さ、そしてストーリー。明らかにエンタメ性をアピールしてたじゃないですか貴方たち
もう少し「分からない人にも分かる」ような映画にして欲しかった…

総評

期待したほど笑えなかったですし、最後まで置いてけぼり感を喰らった怒りで震えています。というのは大げさですが、期待値を下回ってしまった作品であることは確か
ここまでどっちつかずの映画になってしまうだなんてショックです。
クドカン脚本なら良かった気がしてならない。三木さんはユルっと不思議な世界観の方が絶対向いてる。

あいみょんが作った曲は本当に素晴らしいと感じました。その他にも豪華アーティストが劇中歌を作曲しているので、音楽を楽しむ感覚で観に行ったらいいかもしれません。テヘ