一番好きな時代劇『十三人の刺客』(三池崇史監督版)を紹介したい

私が一番好きな時代劇それが『十三人の刺客』です。
こちらの作品は1963年に工藤栄一監督の『十三人の刺客』を現代風に再構築した時代劇エンターテインメントとなっています。

僕はこの映画を高校生の頃に鑑賞し衝撃を受けました。今こそ紹介したい!

あらすじ

幕府の権力をわが物にするため、罪なき民衆に不条理な殺りくを繰り返す暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)を暗殺するため、島田新左衛門(役所広司)の下に13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いていたが、新左衛門には秘策があった。

冒頭で確信する名作感

物語は内野聖陽さんの鬼気迫る表情から始まります。まさに「演技に圧倒される」とはこのことです。「これは凄いのが始まるぞ」と感じたのを覚えています。というかいつ見返しても一気に野武士達の世界へと引きずり込んでくれるんです。

そしてその後登場する松平斉韶(将軍の弟)役の稲垣吾郎さんが極悪の暴君っぷりを見せてくれるのですが、これが本当に怖い。
段々と怖さが見えてくるのではなく、最初からフルスロットルで怖いんです。ここで確信するわけです「この映画は相当の凄み」を持っているぞと。

分かりやす過ぎるストーリー


時代劇というのは「勧善懲悪」です。主人公が正義で、この世を浄化するために悪を倒す。もうこれがお決まりであり、勧善懲悪こそが時代劇!
『十三人の刺客』も例に漏れずドシンプルなストーリーなのですが、感情移入のさせ方が神懸ってる。
どういうことかと言うと、今回の場合は「観客がどれだけ稲垣吾郎を憎たらしいと思えるか」に全てがかかってる!これが上手くいけばいくほど悪役を倒した時のカタルシスが大きくなり、エンタメとして名作になるのです。

時代劇には捻りのある展開や何十個も散りばめた伏線などいらないのだと、私は本作で思い知らされましたし、「これでいいんだ!」と強く感じました。

刺客となる十三人について


本作の批評について良く言われるのが「刺客たちの掘り下げが少ない」というのがあります。これに関しては私もその通りだと思っています。
実際ガッツリと目立つ刺客は少ないですが、仮に13人分全員を詳しく掘り下げていったら確実に上映時間が4時間を超えます。笑
いや私としては4時間バージョン見たいんですが、ここに関しては仕方ないかな‥と。
主人公の役所広司さんが余りにカッコよくて渋いからそれで良くない?という結論に落ち着きました。

吾郎ちゃんを語りたい


本作を語る上で全員が絶賛しているのが、稲垣吾郎さんの怪演。冒頭でも述べましたが、その悪役っぷりには度肝を抜かれました。
では何でここまで怖いのか!?考えてみます

やはり残虐っぷりが飛びぬけているからでしょう。

宿泊した家の娘を縛り付け、夫は刺し殺す
ある家族を弓の的にして全員射殺す
村娘は腕と足を切断、さらには下を抜いて何も出来ない状態に。そして弄んだ挙句にゴミのように捨てる。

書いてるだけで気分悪くなるレベルの悪行…。いや悪行だなんてもんじゃないです。
そしてただただ殺人や強姦をする悪役ならばこれまでも沢山いました。しかし本作の吾郎ちゃんは違う。
人を殺すことを何とも思わず食事をするように、当たり前のこととして残虐行為をしているんです。一見すると非現実的すぎて憎たらしいという感情すら浮かんでこなそうなのですが、吾郎ちゃんの演技が凄すぎて本気で恐ろしい。

観客はどう思うか?そうそれは
「こんな奴を将軍にしたら世の中が終わってしまう。早く倒してくれ」
と心から願うんです。早く吾郎ちゃんを倒してくれ!と
ここまで思わせる吾郎ちゃんの演技、表情の作り方、佇まい…。どこも文句のつけようがない!

「かっこいいと思わせる悪役」ってよくいるじゃないですか。ダークナイトのジョーカーがいい例でしょう。
んでもって本作の吾郎ちゃん。全然カッコよくない!ただただ怖くて居なくなってほしい!!
いや~観客にここまで感情移入させちゃうあの怪演…。確実に本作で吾郎ちゃんに対する世間の目が変わったと思います。「役者・稲垣吾郎」として見られるきっかけですよね。

刺客側の男気


正義側である十三人はとても愛すべき、男こそ惚れるような気持の強さを持った面々が集まっています。
本作の舞台となっている19世紀末は、侍が偉くない時代。形だけ侍を真似しているが人も切ったこともないような男の方が多い時代なんです。つまり安定した時代
そんな時代の中、意を決して悪に立ち向かう男たちに惚れない訳がない!安定した時代だからこそ目立つ悪と正義。ほんと良く出来てるよなあ

スーパーチャンバラタイム


なんと本作はラスト50分がずっとアクションです。ラスト50分と言う言葉の概念が存在することに驚きます。ほぼ半分やんって

「50分とか冗談でしょ」と思ってたんですが、これがホントに50分ずっとアクションしてます。ノンストップです
普通ならば50分間も同じことをされたら飽きるものですが、本作はカメラ割りや展開が計算され尽くしているので飽きません。

役者さん一人一人の殺陣はもちろん、極力CGを使わない生々しい合戦シーンの連続。いつ思い出しても興奮して眠気が覚めます。

そしてここで吾郎ちゃん扮する松平斉韶が放つある台詞!これがまた素晴らしい。
それまでただの暴君としてしか見てなかった男が放つ、ある種哲学的なある台詞のおかげで悪役としての魅力をまたレベルアップさせています。

ラスト50分の大合戦。息をつく暇なんてありません

総評

本作を見て、元となった1963年版も観ました。やはり元となっただけあって迫力・雰囲気共に凄まじいものを感じましたが、やっぱり私はリメイク版の方が好きですね。
時代劇エンターテインメントとして完成しきっているのが本作だと私は断言したい!
吾郎ちゃんの悪役っぷりだけでご飯4杯はいける!
見たことが無い方は是非とも圧倒的時代劇エンタメを体感してみてくださいね。